騙す方が楽だよね、という話 (小並感しかないメモです)

よく、デマをばらまくコストの方が、デマを検証して覆すコストよりも遥かに低い、と言われる。 その騙し方のパタンを分けて整理してみたら分かりやすいかなぁ、と思って、メモを作ってみた。

便宜上、「玄人」と「素人」と「詐欺師」という人物を想定してみる。 「玄人」は、ある対象 (もの、サービス、主義主張、など) について、それがまともなものか駄目なものかを、ほぼ確実に判断できるだけの見識があり、かつ、他人を騙さない、良心的な人のことだとする。 「素人」は、その対象について、まともかどうかをきちんと判断する力がなくて、なんとなく「良さそう」あるいは「駄目そう」と思ったり、「難しくて分からないから他の誰かの言うことに従っておこう」と思ったりする人のことだとする。 「詐欺師」は、その対象がどういうものだか理解した上で、それとは逆のことを言って素人を騙そうとする人のことだとする。

もちろん現実はもっと複雑で、対象のことをよく分かっていない声の大きい素人が、結果的に詐欺師の役割を果たすことだってあるだろう。 でも、このメモは、そういう複雑なことを検討するためでなくて、概略的なパタン分けをして整理するのが目的のものである。

玄人が「まとも」と判断 玄人が「駄目」と判断
素人が
「良さそう」
と感じる

ほとんどの場合は、「どこからどう見てもまともだから安心して大丈夫だよ」という案件。これを「駄目だよ」と吹聴する詐欺師は、話術がないと、素人相手でもなかなか騙せないと思われる。

右の枡目に該当する何か (インチキ医療とか) に引っかかっている素人がいたら、この枡目に該当する代替物 (まっとうな医療とか) へと誘導できれば詐欺被害は減るのだろうけれど、なかなかそううまくはいかないかもしれない。

玄人が素人向けに「どこが、なぜ駄目なのか」をうまく説明しないと、「大丈夫、良いものですよ〜」と吹聴する詐欺師にやられる。詐欺師は、素人自身が持っている感覚を後押しするだけでよく、騙すコストが低い (「良さそう」という素人の感覚自体が詐欺師の前宣伝により醸成されることも多い訳だから、詐欺師は、「良さそう」という感覚なり予断なりを前宣伝によって素人に持たせるのに成功した段階で、もうかなり優位に立っていると言える)。玄人は、素人の直感を覆すに足る説明をしないといけないので、大変である。

インチキ医療、インチキサプリメント、EM菌、水素水、江戸しぐさ、インチキセキュリティソリューション、インチキ地方活性化策、などはこのパタンと思われる。胡散臭い根拠しか持たない「クールジャパン」礼賛記事なんかも、このパタンだろうな。

素人が
「分からん」
と感じる

「信じて大丈夫なまともなものだよ」と説明する玄人と、「いやいやこれは悪いものなのだ」と不安を煽る詐欺師との戦い。デマをばらまく方がデマを検証して覆すより楽だから、詐欺師が優勢になりかねない。

下の枡目との境目は曖昧。

「信じたらあかん駄目なものだよ」と説明する玄人と、「いやいやこれは良いものなのだ」と吹聴する詐欺師との戦い。デマをばらまく方がデマを検証して覆すより楽だから、詐欺師が優勢になりかねない。

上の枡目との境目は曖昧。

素人が
「駄目そう」
と感じる

玄人が素人向けに「なぜこれを信じても大丈夫なのか」をうまく説明しないと、「ほらほらこんなに駄目なものだよ」と不安を煽る詐欺師にやられる。詐欺師は、素人自身が持っている感覚を後押しするだけでよいので、騙すコストが低い。玄人は、素人の直感を覆すに足る説明をしないといけないので、大変である。

ワクチンや、福島産の農産物・海産物について、ある種の素人が騙されるパタン。

ほとんどの場合は、「どこからどう見ても駄目だから信じたらあかん」という案件。これを「実は良いものだよ」と吹聴する詐欺師は、話術がないと、素人相手でもなかなか騙せないと思われる。

と、このように表を作ってみると、パタン自体にはある程度の対称性があるけれど、具体例となると、左下のパタンより右上のパタンの方が、ぐっと多い。何かを売りつけて儲けやすいのは左下のパタンより右上のパタンだ、ということなのだろう。 中段については、素人からは玄人と詐欺師の区別をつけられないのが致命的だなぁ、と思った (自分ではよく分かっていない事柄について、相反する主張のどちらを信用すれば良いのかを判断することは難しい……)。