英語あれこれ: カタカナだと区別できない単語

サイト / cite / site / sight
「引用する」という動詞のつもりで cite を「サイト」と言うことはあまりないかもしれないが、たとえば HTML の cite 要素についての会話では、cite を「サイト」と言うだろう。また、一般的な「場所」という意味での site を「サイト」と表記することは少ないだろうが、「ウェブサイト」の意味の site は「サイト」とカタカナ語を使うことがほとんどだろう。sight はあまりカタカナ語としては使わないように思うが、特定の複合語ではカタカナで「サイト」と表記する場合もある。たとえば、レーザーを使った照準器のことは、「レーザーサイト」 (laser sight) と言うことがある。しかもこれは、防空基地という意味の「レーダーサイト」 (radar site) と音が紛らわしい。
スラッシュ / slash / thrash / slush
パス (path) や URL の表記に関して「/」記号 (slash) のことを「スラッシュ」とカタカナで書くことはある。が、thrash をカタカナ表記するのは「スラッシュメタル」という趣味の世界の話ですね。多分。 なお、溶けかけの雪、などの意味を持つ slush も、カタカナ表記にすると区別がつかない。
ソフト / soft / software
日常口語では「ソフトウェア」を「ソフト」と略すが、書き言葉ではきちんと「ソフトウェア」と書きたいものである (「ハードウェア」や「ファームウェア」や「ミドルウェア」も、「ハード」や「ファーム」や「ミドル」と略さず、きちんと書きたいものである)。そうしないと、うっかり「ソフトエラー」(soft error) と「ソフトウェアエラー」を取り違える羽目に陥るかもしれない。ソフトエラーは宇宙線に起因するエラーなので、ソフトウェアよりむしろハードウェアに関連している。
ダイ / die / dye
情報系の文脈では、名詞としては、シリコンウェーハを切断してできた小片、という意味のダイ (die) 以外はまず出てこないので、染料という意味の dye と取り違える可能性は考えなくて良いだろう (もちろん die には他の意味もあるし、そっちの意味はプロセス管理などの文脈で動詞として使うこともあるし、Perl でも予約語になっているけれども)。 なお、ウェーハを切断する動作を表す動詞としては、dice や singulate が使える。 その動作のことは dicing や singulation という。 そして、そうやってできたダイの複数形は、dies でも dice でもよい。
チップ / chip / tip
コンピュータや回路に関する話なら大抵は chip の方だが、何か一般論の話をしているところで (秘訣・コツといった意味で) tips と言わないとも限らない (かもしれない)。ドライバ (screwdriver) の先端も tip というが、そうするとコンピュータの組み立ての話だと chip と tip の両方が出てくることもあるのだろうか……。
トラック / truck / track
たぶんほとんどの場合は、ハードディスクの track の方だと思うが、もしかしたら車の truck の設計をする CAD の話かもしれないし (?)、少しは注意しておいたほうがよいかもしれない。
バス / bus / bass / bath
コンピュータ関連だと、ほぼ bus しか出てこない。が、一般には、bass や bath の意味で「バス」と書いてある可能性もある。
パス / pass / path
たまにどっちの「パス」だか分からず困る。 「ワンパス」は one-pass である (one-pass compiler とか one-pass search とか)。
バルブ / bulb / valve
何らかの機械的装置の説明の中だと、bulb と valve のどちらが出てきてもおかしくない。下手をすると、図がないとどちらの「バルブ」のことだか、判断できないかもしれない。つまり、英文和訳の場合は、下手にカタカナに訳すと誤解のもとになるし、和文英訳の場合は訳語を誤る可能性がある、というこわい例である。
プレーン / プレイン / plane / plain
「データプレーン」や「コントロールプレーン」は plane の方。Unicode に関しても plane という語を使うことがあるが、これはカタカナで書くよりも「面」と書くのが普通かな。「平文」を表す plaintext は、たまには「プレインテキスト」とカタカナで書くかもしれない。
マイコン / microcontroller / microcomputer
辞書を引くと「マイコン」は microcomputer のこと、となっているが、microcontroller の意味で「マイコン」と書く (そして、microcontroller と microcomputer の区別を特に考えていない) 人も、割といるように思う。そしてさらに microprocessor との区別も曖昧なことが多いように思う。まさか my computer の意味で「マイコン」と書く人はいないと思うが、どうだろう……。
ライト / light / right / write / rite
技術系の文章なら rite (儀式) ってことはなかろう。というか rite なら日本語で「ライト」と書いたりはしないので問題にはならない。 表示灯の話が出てくると、light が「ライト」と書かれていることはありうる。 right も、(野球の話以外では) あまりカタカナでは書かないかも。 write はよくカタカナで「ライト」と書く。 ということは「書き込み操作中は表示灯が点きます」と言おうとして「ライト中にはライトが点きます」となる可能性があったりして…… (まあ、さすがにここまでひどいカタカナ遣いをする人はいないだろうが)。
リード / read / lead
コンピュータ関連だと、read を意味することが多いかと思うが、「リード線」だと文脈によっては lead の方。「鉛」の意味での lead をカタカナで書くことはまずない。「リードタイム」(lead time) はカタカナでそのまま書くことが多いと思う。
ルート / root / route
ネットワーク系の話だと、root と route のどちらも出てくるので要注意。経路を定めること、転送をすること、といった意味だと route を使うわけだが、スパニングツリープロトコル (spanning tree protocol) だの階層的な管理だのの話だと root という単語も出てくる。 また、もちろんコンピュータ関連の分野だと、root という単語は、木構造に関連してよく出てくるし、「ルート権限」といった語句の中でも使われる。
ロード / load / lord / road
情報系の話なら普通は load しか使わないかな……。
ロッカー / locker / rocker
CAD の話だと、設計対象物については文脈が乏しかったりするので、持ち物をしまっておくロッカー (locker) なのか、揺り椅子 (などの下の、湾曲した部材) という意味の rocker なのか、迷う可能性もある。とは言え、普通は rocker をカタカナで書くとすれば、ほぼロック・ミュージシャンの意味に限定されるから、何らかの構造物を指す文脈でカタカナで書いてあれば locker の方であろう。