英語あれこれ: カタカナ語にする動詞

カタカナ語にする動詞は多々あるので網羅的なリストは挙げようがないが、カタカナ化するときのパタンがいくつかあるので、それをちょっとまとめてみる。

「〜する」「〜される」とそのままカタカナ化してサ変動詞として使うもの

compile
情報系の文脈では「コンパイルする」と訳すことがほとんど。compilation という名詞も動詞と同じ形の「コンパイル」と訳すのが面白い。音楽CDだと「コンピレーション・アルバム」などと言うのにね。
download / upload
「ダウンロードする」「アップロードする」以外に訳しようがない。
install
情報系の文脈では「インストールする」と訳すことがほとんど。なお、たとえば「ソフトウェアのインストール」のように、名詞の installation も動詞と同じ形の「インストール」と訳すことが多い。もちろん、文脈によっては、install を「取り付ける」「設置する」「組み込む」などと訳すこともある。同様に、pre-install も、そのまま「プレインストールする」と訳す。
localize
「ローカライズする」とカタカナにすることが多いと思う。「現地語化する」はあまり見ない。逆に internationalize は「国際化する」が多いかな? なお localization という名詞形は、L10N と略されることもある。同様に internationalization も I18N と略されることがある。
set / reset
目的語が「レジスタ」、「ビット」、「フラグ」などだったりすると、set を「設定する」と訳さずに「セットする」とカタカナ語を使うのが普通。原形と過去分詞形が同じなので注意。
simulate / emulate
これらは、名詞はちゃんと名詞形をそのままカタカナ化するのが普通。

「〜ingする」「〜ingされる」と、なぜか受け身でも ing をつけてカタカナ化するもの

address
「アドレシングされる」という形の受け身はほとんど見ないのでここに分類するのは少し不適切かもしれないが、能動態だと「アドレシングする」がちらほらあるように思う。「アドレッシング」と促音を入れることもある。「アドレス指定する」「アドレス指定される」とも訳せる。もしかしたら古風に「番地指定する」でもよいかもしれない。ただ、以上のことはコンピュータ関係の文脈でのことで、もちろん一般的な文脈においては、「〜に向けて演説する」「〜に対処する」といった意味にもなり得る。
buffer
buffer は「バッファリングする」と訳し、buffered は「バッファリングされた」と訳すのが普通。改めて考えると、なんでわざわざ受け身に ing がつくのか、不思議な感じである。
etch
「エッチングする」と訳す。一緒に使う前置詞としては、etch back to とか etch off とかを見たことがあるが、こういう場合にどう訳すのが良いのかは知らない。
filter
「フィルタにかける」と訳すことも多いが、「フィルタリングする」と訳すことも多い。受け身だと「フィルタリングされた」「フィルタにかけられた」「フィルタ処理された」などと訳せる。「フィルタに通す」でもよいと思う。
line
回路基板か何かの表面に膜を形成する、といったような文脈で、その動作を line と表現する場合を見かけた。が、「裏打ちする」とすると、衣服みたいな雰囲気になってしまい、訳語が文脈に合わない。すると、「ライニングする」「ライニングされた」とでも訳すしかなくなるように思う。「被膜を形成する」と訳しても良いかもしれないが。
map
「写像する」もよく使うが「マッピングする」を使うことも多い。
package
「パッケージ化する」と「パッケージングする」の両方の訳し方ができる。
pattern
半導体基板などの製造の文脈では「パターニングする」「パターニングされた」を多用する。「パターンを形成する」「パターンが形成された」でもよいかもしれない。
render
画面の描画という意味のときは「レンダリングする」を使う (か、「描画する」を使う)。それ以外の意味 (「〜にする」「〜を与える」「〜を表す」など) もあって、たまにそういう用例に出くわすと「使い勝手が良さそうな動詞だな」と思うが、そういった意味を英語で書きたいときに render がすっと出てはこないので、まだまだ修行が足りない。
route
ネットワーク系の文脈で「ルーティングする」「ルーティングされた」を使う。
screen
「選別する」も使うが「スクリーニングする」を使うこともある。

なぜか ment をつけてカタカナ化するもの

align
「位置合わせする」「整列させる」と訳すことも多いが、「アライメントする」「アライメントされた」という言い方も見かける。

「化」をつけてカタカナ化するもの

encapsulate
「カプセル化する」と訳す。通信とかオブジェクト指向プログラミングとかの文脈で出てくる。「隠蔽」と書くより「カプセル化」と書く方が誤解がなくてよい。また、それとは別に、回路パッケージの製造などの文脈で、「封止する」のように訳すこともある。ちなみにこの場合、encapsulant は (樹脂等の) 封止剤のこと。この語については別のページでもちょっと書いた。
model
「モデル化する」と訳す。
package
「パッケージ化する」と「パッケージングする」の両方の訳し方ができる。
packetize
「パケット化する」と訳す。
pattern
基板製造以外の文脈だと、「パタン化される」と受け身で使うことが多いかな?
serialize
「シリアライズする」とすることが多いように思うが、「シリアル化する」「直列化する」とも訳せる。ただ、逆の deserialize は「デシリアライズする」と訳すことが多そうだから、serialize も全体をそのまま「シリアライズする」とカタカナ化した方が、訳語の均衡がとれるように思う。これらの語については別のページにも書いた。
tokenize
「トークン化する」と訳す。

カタカナ語に限らなければ、organize (組織化する、組織立てる、系統立てる)、structure (構造化する)、internationalize (国際化する、多言語化する)、encode (符号化する)、encrypt (暗号化する) なども、「化」のつく「お仲間」である。-ize, en- といった形の動詞は、「化」がつきやすい。-ate はどうかな? (pixelate はそのまま「ピクセレート」のような気もするし、上記の encapsulate 以外にパッと思いつくものがないが……)。

その他

interface
X interfaces Y with Z. のように動詞の interface を使うことがあるが、これは、特に定訳がないと思う。たとえば、「X は Y を Z に連結する」「X は Y を Z に接続する」「X は Y と Z を仲介する」のように、漢語を当ててもよい。「Y を Z に」ではなく「Y と Z を」と訳すこともあると思う。「インタフェイス」というカタカナ語を訳文に残しておきたい場合は、「X は Y を Z にインタフェイス接続する」「X は Y と Z の間をインタフェイス接続する」「X は Y と Z の間でインタフェイスをとる」などと訳すこともある。場合によっては、to interface with Z のような形で使う (直接目的語の Y が現れない) こともある。